ラブストーリは突然に!〜その2
前回お話ししましたように、フランスに研究留学ができることが決まりました。振り返ると、留学を思い立ったのが5月初旬、希望する施設にCV、Applyメールを送ったのが5月下旬、6月中旬には留学できることが決まりました。留学に恋焦がれて10数年全く縁なく経過していたのに、自ら動き出した結果、ほんの1ヶ月弱で留学できることになり、嬉しい反面、今までの葛藤はなんだったのかと、妻と二人で笑ってしまいました。
しかし、話はこれで終わりません。
フランス臨床研究留学が決まった同時期に、実はもう1施設にApplyしていたのです。きっかけは"Citation"です。アメリカニューヨーク州のある施設からpublishされた論文が私が日本で行なった臨床研究の論文をCitationしてくれていたのです。アメリカ留学への道は臨床留学か基礎研究しかないと思っていました。しかし、私が日本でやっていたような臨床研究を目的としたアメリカ留学という選択肢もあるのだと、非常に驚きました。私はすぐに、その施設のBossにメールをしました。
私も同じような研究をしたい。
その分野での経験は十分にある。
給料は現在の所属施設から頂けるので、最初は無給でも構わないのでClinical research Fellowとして受け入れてもらえないか。
という趣旨のメールを送りました。
待つことたったの二日、ボスからResponseがありました。
I will be very interested to discuss further. Please set up a meeting with my assistant. We can discuss further then.
夜中の3時、メールを開いた瞬間、妻がびっくりするくらいの大声で叫びました。
"やったー!!"
その約1ヶ月後にZoomでのmeetingを行い、"You can come here" と返事を頂き、7月中旬にアメリカニューヨーク州への留学が決定しました(もちろんこの時点では口約束です)。5月下旬から7月中旬は、フランス、アメリカと時差の大きな国とのメールのやりとりで、夜中も興奮して眠れませんでした(笑)。その後、数十通のメールのやりとりを経て、めでたくアメリカニューヨーク州への臨床研究目的での留学が正式に決定し、2022年3月下旬に渡米し、現在に至ります。Visaの取得や渡米の準備等は様々な諸先輩方のブログで詳細に記載されており、そちらを参考させて頂きました。
医師の留学というと、臨床留学や高尚な基礎研究留学を目的にされている方が多いと思いますが、私と同じようになんとなく留学したい、家族と海外生活を楽しみたい、子供に英語圏の教育を受けさせたい、という不純な(笑)動機で留学を目指す先生方もいるのではないかと思います。人生は1度きりですし、自分だけのものです。日本で精一杯臨床に励んできたイチ外科医としては、留学というご褒美がいただけたことは非常に感謝しております。
ラブストーリは突然に!〜その1
今回は、どのように私の留学が決まったかをお話しさせて頂きたいと思います!
臨床をされている先生方や医学部の学生さんの中には、将来留学したいと思っている方は多いのではないかと思います。
私は学生時代、ニューヨークに一人旅をした経験があり、漠然とですが、アメリカ(海外)留学への憧れがありました。
大学を卒業して、研修時代にお世話になったMentorの先生が、アメリカのCleveland Clinicに留学経験がありました。その先生のなんだか変にアメリカナイズされた雰囲気がかっこいい!と思っていて(笑)、留学時代の楽しい思い出をいつも話してくれ、私もいつか留学したい、するんだ!!と留学に恋(ラブ)していました。
その後、外科医として多忙な生活を送っていたのですが、留学の"り”の字も出てこず、恋が始まる気配もありません。
留学というと、医局の上司から、”こんな話があるけど行ってみない”のような形で決まるものだと思っていましたが、何せ留学に行った先輩方がいないのです。
そんな、こんなで、あっという間に月日が流れます。40歳が目前に迫り、外科医として必要な資格や学位も臨床研究で取得することができましたので、もう自分で留学の道を探すしかないと思い立ちました。
でも、どうやって留学しよう‥‥
慌てて、留学経験のある大学時代の同級生に連絡をとり、帰ってきた答えが、"留学したいだけではなくて、"どこに留学して何をしたいかじゃない"
我に返りました。今まで留学に恋焦がれていたのに、どこに留学して、何をしにいくのかを全く考えていなかったのです。まさに"恋に恋してる"という状態です。そこから、留学にはどういう道があるのかを調べると同時に留学して自分が何をしたいかをか自問自答しました。一般的には医師の留学には以下のパターンがあるのではないかと思います。
②基礎研究留学
③臨床研究留学
私の場合、①は能力的に不可、②は基礎研究の経験がないので不可、③臨床研究での留学が現実的かつ自分のやりたいことと考えました。さっそく、祈る気持ちでclinical research fellow , surgeryなどでググってみました。すると、フランスの鏡視下手術専門施設で臨床研究医を募集していることがわかりました。第一希望はアメリカの施設でしたが、該当するpositionがなく、私自身、欧州内視鏡外科(EAES)学会での発表や同雑誌への論文掲載も経験していましたので、フランスであればいける可能性が高いのではないかとすぐに、CVを作成しApplyしました。すると、たったの3日で返事が来ました。内容は書類選考はPassしたから、2週間後にzoomで面談をしましょう。
えっ!?!?!?こんなにすんなり決まるの!?
実際、2週間後に施設のボスとzoom面談をすると、すぐにWelcome to France!!と言って頂き、留学を決意してから、ほんの1ヶ月程度でフランス行きが決定しました。このような形で突然に留学が決まることもあるのだなぁと笑ってしまいましたが、飛び跳ねるくらい嬉しかったのを覚えています。まさに"ラブストーリーは突然に"です。
しかし、ここから事態は急展開をむかえます。~次回に続く。